弩舟怪運 謝罪会見所


「お集まりの皆さま、この度はお騒がせしてしまい誠に申し訳ありませんでした。
これが私、弩舟 怪雲の本当の姿です。」




ザワザワ…ザワザワ…


「嘘だろ…あんた、ただの男じゃないか!」
「じゃあホーム画面にいたあの男性は誰なんですか!?」
「そのレバーみたいなのはマイクのつもりなんですか!」



あれは他人です。

今まで私の代わりに表に立ってもらっていました。

このレバーみたいなのはマイクです。





「ふざけるな!」
「よくも騙したな!」
「ひどい!ファンだったのに!」
「手首を切り落としてやる」



私は明日には捨てられてしまう身です。

この際全てを白状しましょう。

そして最期の…


私、弩舟怪雲最期の俳優としての仕事を

努めさせて頂きたいと思います。





~これ
までの経緯について~





パシャ!パシャ!パシャ! カシャカシャ!


「眩しい!フラッシュはお控えください!」


「これがお前がやってきたことへの報いだ!」

「くらえ!」


パシャ!パシャ!パシャ! カシャカシャ!



こ、今回の騒動の経緯について

ご説明させて頂きたいと思います……

見ての通り、

私、弩舟怪運は替え玉を使って

皆さまを騙していました。

これまでの私の輝かしいキャリアは

全て彼の功績ですw



「なにをわろてんねん」

「弩舟さん、なぜこんなことをしたのです?」



私は子供の頃から

俳優になる事を夢見ていました。

ですが現実は厳しいものでした……

オーディションには落ち続け、

年齢を重ねていくだけの

ただの男としての日々を

過ごすだけでした…


パシャパシャ!カシャカシャ!




そんなある日、私は気がついたんです。

私が私であるから

オーディションに落ちてしまうのでは

ないかと……!?

いっそイケメンを雇えば

万事うまくいくのではと!?

パシャ!パシャ!パシャ! カシャカシャ!


「つまり、俳優としてすごかったのはあの替え玉の男性で
あなた自身は只の男だったと…間違いありませんね?」


……はい


ザワザワ…ザワザワ…


「彼は何者なのですか?」


私の古い友人

デヴィット・ナンジャソラーの弟、

ビビット・ナンジャソラーです。

彼に紹介してもらいました。

ザワザワ!ザワザワ!

「あの有名な映画スター、デヴィット・ナンジャソラーの!?」
「ナンジャソラー!」
「こりゃスキャンダルだ!」
「もうこんな男どうでもいいぞ!」



ドドドドドドドドドドドドドド………




……報道陣の8割くらいが
行ってしまいましたね。

まだこの会見を
続けますか?


「もう少し続けて下さい」




~帽子~




パシャ!パシャ!パシャ! カシャカシャ!

これは私の

トレードマークともいうべき

帽子です。


「トレードマーク…?」

「弩舟怪雲の帽子姿なんて見たことがないぞ?」


そうか…

あの替え玉は

この帽子を一度も被ってはくれなかった。

認知されていないのも当然か



「失礼ですが似合っているとは言い難いのですが」




ぺー!!


「この男、全然反省してないぞ!」
「斧を持ってこい!手首を切り落とすんだ!」




すみません、取り乱しました。

心よりお詫び申し上げます。

ですが私だって

被害者なんです。


「と、いいますと?」




これから全てを

お話ししましょう……

私の身に起きた

悲しい出来事を








ザワザワ…ザワザワ…


「寿司…?」
「まさか食べるつもりじゃないだろうな…?」


……少々

メタな話をしても

よろしいでしょうか


「…どうぞ」



私を作った人が…

もちろんいるわけなのですが…

その人が

私を作るよりも

寿司を作る方が

楽しい、と……


「…………」



あんまりだとは

思いませんか…?


「…………」


私の事は明日にも捨てるそうですが

寿司は置いておくようです。

私にはこんな雑な帽子
一つ与えるだけで…

寿司ばかり……


「…………」




あんまりだとは

思いませんか…?










……と、いうわけだったのです。

どうでしょう、私に

同情したくなったのでは

ありませんか?


「ですがその事とあなたが皆を騙していた事は関係ないのでは?」



ぺー!!



「どうやら手首を切り落とされなきゃわからないようだな!」


すみません、取り乱しました。

私は自分の不甲斐なさに

うんざりしていたのです。

だから目的のためなら

手段を択ばず……

うぅぅ…






~空腹~





食べていいですか?


「この男!やっぱり反省してないな!?」

「あんたねぇ、謝罪会見中に寿司を食べる俳優がどこにいますか!」



申し訳ございません。

空腹のあまり
今の私は冷静な判断が
出来ないようです。

記者の皆さまも
私が異常な行動を起こしたら
遠慮なく蹴ってください。


「わかりました。」




~水を飲みたい~






……すみません、沢山泣いて
水分を失いました。

少し水を飲んでもいいですか?






「水だと!?ふざけるな!我々は宴会しに来たのではないのだぞ!」

「まあ、水の一杯くらいいいではないですか」

「…まあ、そういうのなら…」




失礼。それでは…

皆さまの健康を祈って乾杯




ゴクゴクゴクゴクゴクゴク









ポペー!


「わぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ど、毒だ!毒を飲んで自殺した」

「大変だー!」


その後、弩舟怪雲は病院へ搬送されたが
その後行方不明となった 



ポペー